錯視の身近な例を紹介

錯視の身近な例を紹介

 

建物や道路など、暮らしている街の中で、実は錯視がたくさん使用されています。 錯視がどのように社会に役立てられているかを紹介します。

東京ディズニーランドでの錯視の身近な例

東京ディズニーランドでの錯視の身近な例

東京ディズニーランドでの錯視の身近な例

 

東京ディズニーランドのシンデレラ城には、距離の認識に関する錯視が使用されています。建物の外壁の石や、周りの飾りの大きさは、上に行くほど小さくなっています。そのため、遠近感が実際よりも強調されて目に映ります。城がより高く見えるように、仕掛けが施されています。

シンデレラ城と同様、街中にあるビルなどの建物でも、上へ行くほど窓を小さくすることで、建物を大きく見せることができると考えられます。

遠近の錯視

シンデレラ城の仕掛けは、脳が小さく見えるものほど遠くにあると認識することを利用したものです。 距離や奥行きの認識に関連しているという説のある錯視として、古くから回廊錯視と呼ばれる錯視が知られています。

回廊錯視

回廊錯視とは、左右の台形は同じ大きさだが、右の方が大きく見えます。 斜めの線が奥行きを感じさせ、右の台形の方が奥にあるように感じられる。もし同じ大きさのものであれば、奥にある方が小さく見えるはずです。ここでは小さくなっていないので、右の台形が左の台形よりも大きく感じられる。

道路を狭く見せる錯視の身近な例

道路では、「ハンプ」という自動車の速度を抑えるために設置されているものがあります。高速道路の両脇には、写真の白い点線が書かれていることがあります。 錯視を利用し、道路の幅を狭く見せるための工夫です。道路が狭いと運転手は注意してゆっくり自動車を走らせるのが普通です。 このため、スピードが出やすい場所で、速度を抑えさせるために、このように点線を設置しているわけです。

道路を狭く見せる錯視の身近な例

道路を狭く見せる錯視の身近な例

 

高速道路で、道路の幅を狭く見せるために描かれた白い点線

織物から研究が発展した錯視

色を見るときにも錯視を起こしています。同じ色なのに異なる色に見えるという錯視のひとつに、色の対比錯視と呼ばれるものがあります。

錯視と色の研究とは - 錯視メモ

色の対比錯視

色の対比錯視

 

色の対比錯視とは、中心の小さな四角形は左右で色の濃さが異なるように見えますが、実際は同じ濃さになります。

シュヴルールの錯視研究

この対比錯視は、19世紀フランスのミシェル=ウジェーヌ・シュヴルールによって研究されました。 シュヴルールは化学者でしたが、ゴブラン織りと呼ばれる織物の工場長も勤めていました。そのときに、織物の仕上がりの色合いの研究を始めたといわれています。

色の同化の身近な例

色の錯視には、色の同化と呼ばれるものもあります。この色の同化の錯視は、スーパーで、ミカンが赤いネットに入っているのは、みかんの赤みを強調してより鮮やかに、美味しそうに見せる、同化の効果を狙った工夫です。 この効果は、色の同化と呼ばれる錯視で、色が周囲の色に似て見えるというものです。

色の同化の身近な例

色の同化の身近な例

 

色の同化の錯視とは、上の2つの四角形を比較すると、同じオレンジ色が、左では赤、右では灰色に近く見える。下の2つの四角形では、同じ灰色が、左では緑色、右では紫色に近く見える。 立命館大学の北岡明佳教授によって作成されたものです。