錯視と色の研究とは

錯視と色の研究とは

 

錯視の中には、脳が騙されることで、同じ色が違う色に見えるというものがあります。色の錯視とはそもそも、色が見えてこそのものです。このページでは、色とは何かから考えていきましょう。

そもそも色が見える仕組みとは?

なぜ色が見えるのかについては、視覚についての研究と同じくらい古い時代から考えられていました。今では、色の原理について「色のスペクトル」のようなことがわかっています。

光がリンゴに当たると、その表面では特定の波長を持つ光だけが反射し、他の光は吸収されてしまいます。反射した特定の波長の光だけが人間の目に届き、それが赤いという感覚を生み出すのです。

現代の科学では、対象によって反射する光の波長が違うことで、人間が様々な色を感じることがわかっています。また、こうして目に届いた光が、網膜の細胞によって信号に変更され、神経を通って脳に伝わり、そこで初めて「赤い色だ」という感覚が生まれることが分かります。

しかし、場合によっては、同じ波長の光に対しても、違った色の感覚が生じてしまうことがあります。それが錯視だということです。

色のスペクトル

色のスペクトルとは、ニュートンが実験で示したように、光を波長にしたがって分解し、波長の長さの順に並べたものです。

色のスペクトル

色のスペクトル

 

ニュートンの科学的な研究

17世紀にイギリスで生まれたニュートンは、万有引力の法則を発見したことで有名です。光と色についても様々な実験を行っています。その中で、ニュートンは次の説を唱えました。

  • 太陽の光は、7つの色の光からなる
  • 色の異なる光は、屈折する角度の度合いが異なる

ニュートンは、光の研究成果をまとめ、1704年に「光学」を著しました。その中で、ニュートンは、例えば赤い光と言っても、光に赤色がついているのではなく、その光が人に赤いという感覚を引き起こす力を持っているだけであるとしました。 現在では、ニュートンが考えた通り、赤や黄色といった色は人間の脳が作り出した感覚に過ぎないことがわかっています。

ゲーテの考え

18世紀に今のドイツで生まれたゲーテは、文学者として有名です。 ゲーテは、色彩について科学的な研究を行っています。1810年に、「色彩論」を発表しました。そこで、明暗の対比や、明順応、暗順応といった視覚の特性を明らかにしました。

明順応とは、真っ暗なところから明るいところに行くと、眩しくて何も見れませんが、次第に明るさに慣れて周りが見えるようになることです。

暗順応とは、明るいところから暗いところに行くと、最初はよく見えませんが、次第に見分けがつくようになります。次第に見分けがつくようになることです。

明暗の対比錯視

明暗の対比錯視とは、薄い灰色に囲まれた四角形と、濃い灰色に囲まれた四角形では、薄い灰色に囲まれた方が濃い色に見える。しかし実際には、四角形の色の濃さはどちらも同じです。

明暗の対比錯視

明暗の対比錯視

 

マッハの錯視

オーストリアの科学者マッハは、ウィーン大学で物理学を学んだ後、大学教授を勤めながら様々な分野で業績を残しました。 マッハは、空気中で物体が音より速く動いた時の様子を研究していました。現在、空気中での音の速さを表す単位として「マッハ」の名前が残っています。

1.の部分に縦に一際明るい線と、2.の部分に縦に一際暗い線が見える。だが、線の部分が他と比較すると特に明るかったり暗かったりするわけではない。

マッハの錯視

マッハの錯視


https://youtu.be/9lz18as1oIE

色の同化とは?

ある色が他の色に囲まれているとき、他の色が背景になっているとき、その色が周囲または背景の色に似て見えることを色の同化と呼びます。 色の錯視の一つで、フォン・べゾルト効果とも呼ばれます。

フォン・べゾルト効果

フォン・べゾルト効果